貝葉に見る般若心経の秘密 ダンマパダ

第6章  (89)
七法に心を正しくし、
執着を捨て、むさぼりを捨て、煩悩を捨てつくして、
輝く人は、
現世において、束縛から解かれている。
この第6章は通番76から89までの14の詩でつづられていますが、その表題は「賢い人」と訳されています。
賢い人につき従うのが良いとか、悪友と交わるなとか、賢者は心理を聞くなどの詩が多くあります。
ここに紹介した詩はこの章の最後、89番ですが、賢い人として、中村氏は輝く人とされています。
また私は七法としておきましたが、中村氏は「覚りのよすが」とされています。
これは、悟りを得るための七つの方法のことです。
(1)教えの中から、真実なるものを選び取ると同時に、偽りのものを除くこと。とされています。
色々の人が色々のことを教えてくれます。
仏教にはキリスト教のような聖書はありません。仏陀の教えを色々の人が色々に解釈し、それぞれが正しいと考えて行動し、教えを説いています。
そうすると、中には少し脱線した教えが入り込んでくる可能性もありますから、闇雲に取り入れるのではなく、偽りのものは除けといっています。
さらに、所謂外道、仏陀の教えでない教えは排除すべきだとも言っていると考えられます。
(2)精進。一心に努力しなくてはならないと言うこと。
(3)真実を知った喜びにひたること。仏陀の教え、法を聞き、その正しさと偉大さに素直に感銘し、その法を得た喜びを心に感じなくてはなりません。
(4)心身を軽やかにすること。現代でも正にそのように言われています。健全な心、健全な身体は必須条件ということが出来ます。思い悩んでいてはいけませんし、病弱でもいけません。心身ともに健康であることが必要です。
(5)一切のとらわれを捨てなければなりません。執着こそが苦の元であり、煩悩の源です。更に執着だけではありません。間違った考え方を正しいと思い込んでいる、そういうとらわれをも捨て去らねばなりません。
(6)心を乱さないこと。落ち着きを持つことなのですが、それは身体の動きだけではありません。精神が安定していなくてはなりません。あれかこれかと迷うことは心に乱れがあることです。
(7)思いを一心にすること。念じるということです。やはりこれも心を乱すなと言うことに通じています。
このようにすることによって、法を悟り、心のあり方を正しくしなければなれません。
そうして執着を捨て、むさぼりを捨て、煩悩を捨てつくして、賢い人になるのです。輝く人になるのです。
輝く人は、来世で地獄や極楽に行くのではありません。「現世において、束縛から解かれている」と言っています。
これは仏陀の教えの大切なところです。
地獄極楽は方便として仏陀も説いていますが、それはそのように説いたほうが分りやすい人に対して説かれた言葉であり、仏陀の真の教えはこの現世において束縛から解かれる事なのです。
原始仏典にはこのようにはっきりと、現世において束縛から解かれると明言されています。
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