貝葉に見る般若心経の秘密 ダンマパダ 第21章 (291) |
自分の快楽を得るために、 他人を苦しめるならば、 恨みの紐にまといつかれ、 恨みから逃れることは出来ない。 |
自分の快楽を得るために、他人を苦しめる。 しかし多くの場合、そのようなことはしないのが普通だと思います。 他人を苦しめてまで自分の快楽を得ようとする人は、ごく少数だと思うのです。例えばその少数の例として、泥棒などです。 他人のもの、お金などを奪って自分の快楽を得るわけです。 問題はそういうことではない様に思います。 自分が他人を苦しめていることに気がついていないのです。 上司と部下の場合に非常に多くその例が発生します。 部下に対して上司は色々の仕事を言いつけたり、注意したりしていますが、この場合上司は、決して部下に対して苦しめてやろうと言う意識は持ちません。 何かを依頼したりするのは、仕事であるから当然のことであり、意地悪しているつもりは全くありません。たとえば、君の考えている商品を開発したとすれば、どれだけ売れるかまず市場調査してみてくれ、と頼むわけです。 しかし部下にとって見ると、そうとは限らないのです。 その部下が市場調査をすでにやっており、調査の仕方を心得ているなら問題はないのですが、研究開発者であって市場調査のやりかたを心得ていないとすると、この場合部下にとっては非常に辛いことになるのです。 上司から見れば、単に商品開発に着手するのではなく、市場性をも見極めてから着手しなくてはなりません。部下にしてみれば、俺は研究者で商品の構造設計はできるけれども、市場調査なんてどうやってやればよいのだ。だけど給料もらって生活するためにはやらなきゃならないしなあ。と言うことになるのです。 そして調査結果をまとめたとしましょう。上司はその報告を聞いて、調査の仕方のまずさを指摘します。 このとき、通常はしかる態度をとってしまいます。すると部下は、ああやっぱりか、おれはこの会社に向いていないのかなぁ、こんちきしょう、あんな言い方しなくてもいいのにさ。と恨みをかうことになってしまうのです。それを言えば人事考課は下がり、ボーナスは少なくなり、将来の出世さえ危ぶまれます。 あの上司のためなら、どんなことでも成し遂げてやろう、などと言うプラス思考ではなく、マイナス思考になっていってしまうのです。 他人を苦しめていないか、充分に注意を払いながら行動しないと、知らないうちに恨みをかうことになってしまうのです。 |
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