貝葉に見る般若心経の秘密 ダンマパダ

第18章  (237,238)
汝の命は終わりに近づいた。
汝は閻魔大王に近づいた。
汝には、道中休むところなく、旅の食料もない。

だから、自らのよりどころをつくれ。
速やかに精進せよ。
賢明であれ。
けがれなく、罪過なければ、
もはや生死に近づかないであろう。
汝の命はと、直接私に話しかけてきています。一般論として不特定多数の人に説いているわけではありません。
命は終わりに近づいたといっても瀕死の重症で救急病院にかつぎこまれた状態を言っているのではありません。
二十歳を過ぎたか、三十歳を過ぎたかわかりませんが、すでに人生半ばに入った私に説いていられるのでしょう。
閻魔大王が出てきます。仏陀は基本的に輪廻を実在しないとされ、地獄の実在も否定されています。もちろん閻魔大王の実在も否定しています。
なぜでしょうか。所謂方便です。そう言った方が分ってくれやすいときにはそう言うのです。ある程度分ってから、更に深く説明すると言う手段を取るということです。
死出の旅路ということもおなじです。脅かしているわけです。しかし、本当はもう少し意味があるようです。
おろかな私が老いて死するまでの道のりにおいて、心の休まることがなく、また心を潤す糧もないと示しているのです。
今すぐ真理を勉強しなさい。法を悟りなさい。そうして賢い人になりなさい。
正しい道をきわめ、人としての生き方において悪をなさず、善行を重ねるならば、そこには生きるとか死ぬとかという問題はなくなるであろうと説いています。
生死に近づかないと言うことは、生死の問題はなくなるということですが、なぜ問題はなくなるのでしょうか。
それは空の思想が根本にあるからそう言えるのです。
空とは縁起でもあります。
生も死も含めて、全てのものは、独立には存在しない。変化しないものはない。そういう実体は存在せず、そこにある生も死も実在するものではないことに気がつくであろうと言っているのです。
そうすれば自ずから、心は豊かになり、安楽を得られるのです。
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