貝葉に見る般若心経の秘密 ダンマパダ

第12章  (157)
もし自己が愛しいものと知ったならば、
自己をよく護れ。
賢者は、
夜の三つの区分のうちの一つだけでも、
目ざめていなければならない。
面白い話が仏典に記されています。
満月のこうこうと照りわたるある秋の夜、二人の他にだれもいない楼台の上で、国王は王妃に向かって言われます、「マリッカーよ、この世で一番愛しい人はだれかね」と。 当然愛の証として答えは決まっているものとの思い込みで尋ねられているのです。
ところが意外に、「はい、王様、私にとって一番愛しいのは自分自身でございます」と答えが返ってまいりました。
王様は少しがっかりされた様子でしたが、王妃は続けて言われます。
「ところで王様、あなたはいかがですか」と。
王様はしばらく考えと見えましたが、「わたしにとっても、わたし自身が一番愛しい」と答えられたのです。
そのように愛しい自己であるからこそ、自己を正しく護らねばなりません。
正しく護ると言うことは、真理に目覚めるということです。外敵から身を護るという意味ではありません。このことを夜の三つの区分として説いています。
古代インドでは、夜に三つの区分があると考えていました。それと同様に人生にも三つの時期があります。
第一の時期は遊びに夢中になっている時代で、少年期です。
第二の時期は、仕事をし妻子を養っている時期で、壮年期です。
第三の時期は、老年期であって、少なくとも善をなすべき時期だといいます。
この三つの時期のうち少なくても一つの時期は、はっきりと目を覚まして修行せよと言っているのです。
第一の時期に怠けていたならば、第二の時期に修行すべきであり、その第二の時期にも修行できなかったのならば、第三の時期に目を覚まして修行せよと言うことです。
人生のうちどこかでは修行して、真理に目覚めよということです。
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