いろは歌 解説 (無常偈3)
この偈はどのようにして授けられたかについて、面白い物語があります。
仏陀がまだ若く、出家して間もないときのことです。その若者が一心に修行してると、帝釈天が鬼の姿になって現れ、その修行者に向かって言われました。
「諸行無常 是生滅法」と。
この二句を聞いた修行者は、その言葉にいたく感動を覚え、もし続きがあるならば是非教えて頂きたいと懇願しました。
しかし鬼は、俺は今腹が減ってたまらんのだ。お前を食べたくて仕方がない。ちょっと痩せているけど仕方ないなあ、食べおわったら続きを教えてやろう、と言ったのでした。
修行者は言いました。大変申し訳ないのですが、食べられる前に是非教えて頂きたい。教えて頂いたならば、直ちにこの身をしんぜましょうと。
鬼は承知して、続きの二句を話してくれました。「生滅滅已 寂滅為楽」と。
修行者はたいそう喜び、お教えいただいた四句は後の世にお伝え致しますといって、辺り一面に書き記しました。
そして約束どおり鬼の前にその身を投げ出したのです。
これを見届けた鬼は、元の帝釈天に戻り、お前の修行は本物であることが分った、さらに励め、と言って助けてくれたのです。
この時記されたこの四句が、今でも我々に伝えられていると言うのです。
ここで帝釈天について少し触れておきましょう。
帝釈天はサンスクリット語でインドラといいますが、古くからインドで信仰されていた神です。
これが仏教に取り入れられ、その守護神とされました。
ブラフマンという梵天と関係が深く、仏教ではトップクラスの地位にあります。
自らは勿論ですが、他の神々を使ってしゃばの様子を探らせ、不正や悪事を監視しているといわれます。
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