幸福への道
仕事人間
 
私の働き盛りの頃、とにかく猛烈な仕事をしてきました。
会社と自宅は割りと近くにあり、車で15分ほどですから有りがたかったですけれども、とにかく帰宅は大体夜中の1時か2時、出勤は定時です。
更にまだ土曜日は休みではなく、通常勤務です。
日曜日は休みでしたがほとんど臨出です。
まともに子供の顔を見たことがありません。
帰ってくれば寝ていますし、まだ寝ているうちに出勤ですから。
やっている仕事は開発業務です。
誰も考えていないような新製品はそんなに簡単にできるものではありません。
会社のためとはいえ、特許をとるのは簡単ではありません。
これでよいはずだと思ってもどこかに問題が残っているのが常です。
それを解決しなければなりません。
納期があります。その日までに完成しなくてはなりません。
ですから毎日毎日が命がけの仕事だったわけです。
しかし問題点が解決していき、新製品が出来上がっていくその姿には本当に喜びを感じました。

技術屋が神様仏様に本当にお願いする時があります。
心からお願いせざるを得ないときがあるのです。
製品が完成して、いよいよお客さん立合いで試験されるとき、一発勝負です。
うまく行けば合格、だめなら買ってもらえません。
試験を受けるのはそこにある新製品。決められたように動くかどうかが試験されます。
秒読みが始まります。
 神様! 仏様ーーー! お願いしまーすっ! うまく動いてくれますようにっ!
心の中で祈りますね。
私だけではないようです。開発者は大抵そう言いますから。
仏教を信じているわけではないのにそうなってしまいます。

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