キリスト教と仏教  奇蹟
キリスト教の奇蹟
キリスト教での奇蹟と言うのは、神の超自然的な力による出来事で、我々の常識では説明できない現象のことです。
たとえばキリストは、餓えた五千人の民に、五個のパンをちぎって与え、全員を満腹にしたとか、ハンセン氏病の人を即座に治癒したりしています。
また死者を蘇らせる奇蹟も行っています。
しかし、キリストは、絶対に仕事をしてはならないと言う安息日に、死者を蘇らせると言うことをしているのです。このため強い非難を受けましたが、キリストは、安息日のために人が居るのではなく、人のために安息日があるのだと答えています。
キリストの奇蹟には、このように人を愛すると言う精神が貫かれています。
キリストは、神の存在を、奇蹟を起こして見せることによって示しています。このような意味で、キリスト教は奇蹟の宗教と言うこともできます。

仏教の奇蹟
仏教にも奇蹟があります。霊験(れいげん)と言います。
信仰する人には霊験と言うご利益があるとされています。
しかし仏教には非常に沢山の菩薩や天があります。
刺抜き地蔵、銭洗弁天などもそうです。これは刺抜きを専門とする菩薩と、金銭的ご利益を専門とする天などです。
これらのご利益、霊験は実は方便と考えられます。仏教の真髄まで分っていない人々に、とりあえず仏教の素晴らしさを理解させるための便法です。
もしそうではなく、本当に霊験を真の教えとするならば、世の中は困ったことになってしまいます。果報は寝て待てばかりが横行することになるからです。
たまたま、とげが抜ければ、仏陀は、よかったねと言われたことでしょう。そして真の法を少し説かれたのではないでしょうか。
人間の幸福と言うものは総合的なところにあります。とげが抜けるだけではありません。
仏教はむしろ少欲知足の精神であり、むやみに欲望のために霊験を期待することは本来の姿ではありません。
仏教として、奇蹟はありますが、そのような奇蹟を頼りとしない強い人を育てなければなりません。
弱い人は奇蹟を必要としますが、強い人は奇蹟を必要としないのです。
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