いろは歌 解説 (いろは歌2)
般若心経は、仏陀の本当に言いたかったことを端的にまとめあげた、実に素晴らしいお経だと思います。
しかしこの「いろは歌」はいかがでしょうか。
正にエッセンスと言って良いでしょう。こんなに短く、しかも真正面から取り組んでいるのです。
空の思想を見事に表現しています。余すところもなく、不足のところもありません。
森羅万象全てのものは永遠ではなく、全て変化していくものばかりでです。従って実在するものはないといわざるを得ないけれども、私たちには認識できています。有るのでもなく無いのでもありません。
この現実の、空としてのあり方に気づきえたならば、それは悟りの境地に到ったと言って良く、もはや、死を恐れることなく、苦しみも無く、安楽の心で居られるのです。
仏陀は、法としての真理について、一体このことのほかに何を言いたかったというのでしょうか。

全てはこのことを説くための説法ではなかったのでしょうか。
このように素晴らしい歌を、誰が作ったのでしょうか。
弘法大師の作とも言われていますが、大師の時代より3〜400年あとに出来たようです。
いろはにほへと、と手習いのうちに覚えこませるなど、素晴らしいことを考えたことだとつくづく感心させられてしまいます。

諸行無常、すなわち永遠に変化しないものはない、すなわちいかなるものも実在はしない、というのは空の根本思想であります。そのにあるものはすべて変化するものだということです。
有為の奥山を越えなさいということは、すべてのものは因縁によって生じているものであることを知りなさいということであり、これはやはり空の根本思想です。
般若心経は、色即是空といっています。このこととまったく同じ事をいろは歌は教えているのです。
素晴らしいではありませんか。
感動させられるではありませんか。この短い歌に。

        以上
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