梵字悉曇のルーツ

梵字、悉曇、梵語、サンスクリットなどの意味やその発展を検討しておきましょう。
ここでは、朱鷺書房発行児玉義隆先生著「梵字必携」を参考にさせて頂きながら、私なりの解釈を記しております。
中田良作



語義について

1 梵語とサンスクリット
梵字、悉曇に付いては後で詳しく検討することとして、まず、梵語とサンスクリットを検討しておきましょう。
梵語を記述するための文字が梵字であり、梵語のことをサンスクリットと言います。
日本語を記述するにはかなや漢字を用います。そして日本語のことをジャパニーズと言う関係に当たるわけです。
英語なら英字でイングリッシュです。
ですから、梵語とサンスクリットは全く同じ意味なのです。
しかし梵語にしろサンスクリットにしろそれはどちらでも良いとして、一体それは何なのか、ということになるのですが、言うならば「日本語とは何ですか」というようなことになります。
日本語とは、かなや漢字で表現された文章であり、そのかなや漢字はどこからどのように来たのか、またどのような分布を持っているのかなどをみればよいわけです。
そういう意味で、梵字はどのようにして来たものかを明らかにしなければなりません。
次の項で検討してみましょう。

2 梵字
梵語を記述するための文字が梵字ですが、その文字は紀元前三世紀ごろインドにおいて発達してきたものです。
これがどのように成立したかということに付いては、古来、日本の梵字悉曇学において、四つの説があります。
a) 梵天が作ったという説。梵天は三人の兄弟を言いますが、その内長男は左から書くようにし、次男は右から書くようにし、三男は縦書きにしたと言われます。
b) 竜猛という菩薩が竜宮にいたとき、経典を作るために梵字を考え、世の中に広めたという説。
c) 釈尊の弟子、阿難が釈尊の経典から文字を選び出して世に広めたという説。
d) 大日如来が作ったという説。
これらの説は古来の考え方であり、私たちが求めている答えとは多少相違があるようです。
梵字、梵語というその「梵」という言葉を考えて見ましょう。
清田寂雲著「悉曇学入門」のなかに、二つの説明が記されています。
(1) 梵は梵天 Brahman のことであり,万物の創造神を意味するものであって、梵字もその万物の創造神によって作られたと考えられた。
(2) 梵は婆羅門のことであり、婆羅門は宗教者兼学者で非常に大きな権威を持っていて、インドの代表者であった。そのため、インドの国を婆羅門国と呼んだ。その婆羅門(バラモン)が訛ってボンとなったものである。
従って、梵の国の文字であるから、梵字ということになった。
という、二つの説の内、清田先生は後者、つまり「梵とはインドを表す」言葉であると言われています。
また、梵字の成立を歴史的にみてみると、西方のアラム地方から伝わってきた文字ではないかと考えられています。
これをブラフミー系統の文字と言います。
左から右に書いていく表音文字です。
児玉義隆先生のご研究によれば、そのブラフミーの最古の資料として、アソカ王の法勅文があり、アソカ文字とも呼ばれています。
結局、梵字のルーツはブラフミーにあると言う事ができます。
また、梵字という言葉は、広い意味ではインドの文字を総称しており、狭い意味ではブラフミー文字を指しています。


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ようこそおいで下さいました。    私は電気関係の技術屋でございます。   しかし若いころ、インテリアについてもそうですが、仏教特に般若心経に興味を抱き、仏教哲学をひっくり返してやろうと思ったことがございました。 でも調べれば調べるほど、他の宗教と違って、論理的で非の打ち所がないことが分かってまいりました。   そうして50歳を迎えたころまた思い立って、インテリアとは関係御座いませんが、原点としての貝葉に書かれた梵字の般若心経を漢字に直し、掛軸にして玄奘の翻訳とくらべてみました。   貝葉に梵字で般若心経が記録されたのは何時のことか定かではないようですが、その貝葉梵本を玄奘なりに工夫しながら翻訳したものです。    この二つの般若心経をみてみますと、随所にちがいがあります。 これが玄奘の考えたところです。    このようにした結果、貝葉の梵字般若心経と玄奘のそれとを直ちに見比べ出来るようになりました。   最初は大きいとか小さいとかインテリアと言うこと自体に意識はなく、普通の掛軸にしてしまったのですが、床の間に置いてみると立派なインテリアになっていました。上から下まで全て手書きです。   旧友がそれを見て、小さ目の掛軸にして般若心経のインテリアにするといいよといって、このような掛軸を作ってくれました。   ちょうど良い大きさの掛軸で、梵字主体の荘厳さのある掛軸となり、感謝しています。    この友達はアクセサリーやインテリア製作の専門家ですが、掛軸を作ったのは初めてだそうです。    でも流石、手工芸の得意な人だけあって、素晴らしいインテリアにしてくれました。  本当にありがたく思っています。    中田良作 拝書